代表委員の挨拶

TCフォーラム代表委員のあいさつ

運動の原点に立つ
弁護士・TCフォーラム代表委員 鶴見祐策

daihyo  24年前になる。私は、アメリカ・カナダ税制視察団(全商連主催)の一員に加えてもらった。その報告書(「納税者権利憲章の制定をめざして」)が今も机の上にある。表紙にアメリカ連邦議事堂に展示の「大憲章(マグナカルタ)」のレリーフが載っている。そのページを繰っていると、北米大陸における納税者の権利の実態に新鮮な感銘を覚えつつ、我が国における後進性を思い知らされた記憶がよみがえってくる。訪問先の税務署では、いたるところに「あなたの権利(Your Right)」が掲げられ、何ヵ国語にも翻訳された説明用のパンフが置かれていた。そのパンフには「職員から公正、迅速、丁重に扱われる権利」が謳われ、「あなたの権利を保護し、それにより租税制度の完全性、効率性、公正に対する高い信頼を得る」のが目標であると書かれている。
その2年後になる。「納税者の権利憲章」の実現を目指した「TCフォーラム」が結成された。世界標準である先進国の「常識」を日本に根づかせ確立させるためである。納税者の権利は、法制度の在り方によってその国における国民主権の成熟度の度合いを計りうる標識といえるだろう。私たちは課せられた事業の完遂に向けてさらに力を尽くしたいと思う。

なぜ納税者の権利保護法が必要なのか

運動の原点に立つ
元静岡大学教授、税理士、TCフォーラム代表委員 湖東京至

iin 1990年の夏、OECDから「納税者の権利と義務(TAXPAYERS’RIGHTS AND OBLIGATIONS)」と題した小冊子が発行されました。この冊子は税務行政についてOECD加盟国にアンケートを行ったものをまとめたものです。私はこの冊子を翻訳をして驚きました。アンケートによれば、納税者権利憲章ないし権利保護法があるか検討している国が22か国中18か国、何ら検討していない国が4か国。その中に日本が含まれていたのです。また、一般の税務調査で納税者の居宅に立ち入り検査をすることができると答えたのは22か国中4か国。その中に日本も含まれているのです。他の18か国は令状がなければ立ち入ることはできないと答えているのです。

税務調査の事前通知義務についても日本は「なし」と答えていますが、他の多くの国々は「あり」と答えているのです。OECDは税収が膨張するのは止むを得ないが、税収確保のため人権を無視した税務行政が行われるのは許せないとしています。

私たちは人権無視の税務行政をなくそうと、1993年にTCフォーラムを創立しました。私は創立から19年間、事務局長を務めましたが、この間日本の税務行政は根本的な変化を遂げていません。まず「納税者の権利・利益を保護する」ことを法律にうたうこと、それはOECD加盟国としての責務です。