活動報告

TCフォーラムこの1年間の活動報告
2015 年4月1日~2016 年3月31日

(1)2015 年6 月17 日(水)全建総連会館において第23 回定時総会を開催

記念講演は「納税者の権利憲章の国際的な展開 ~最近の動向を中心に~」をテーマに、立命館大学法学部教授の望月爾氏に講師をお願いし、納税者権利憲章の国際的な状況やわが国の国税通則法改正による手続き法制の整備の経緯や現状を踏まえ、改めて納税者の権利憲章制定に向けてその現状と課題についての報告があった。
1970 年代後半以降、欧米各国において、課税当局の権力の拡大に伴い納税者への権利侵害やトラブルが発生し、租税手続き法制の整備と納税者権利憲章の制定が進展した。納税者権利憲章は、広義には納税者権利保護に関する法律や行政文書などをいい、各国の法文化などの状況により、「立法によるアプローチ」と「行政上のアプローチ」がある。法体系が成文主義の大陸法系と慣習法主義のコモンロー系かによると分析される。この分析に従うとわが国は「立法アプローチ」に区分されよう。
2013 年のOECD の調査報告書によれば、OECD 加盟国34 か国・非加盟国18 か国中、憲章がないのは加盟国では8 か国、非加盟国では2 か国だけである。
憲章制定に反対する議論の中で、租税行政の効率悪化やコスト増加の懸念が示されているが、租税行政の円滑な執行のため、まずは納税者と課税当局との信頼関係を構成していくことが大切である。国際的な動きの中でわが国の遅れは顕著であり、
憲章の法制化が急務であることが確認された。

(2)国税通則法改正後の税制改正の動向

2013 年1 月1 日より調査手続きの本格実施が行われているが、平成28 年度改正は、従来修正申告書の提出が「更正があるべきことを予知してされたものでない場合」過少申告加算税は課されなかったものを「事前通知の連絡を受けてから、更正があるべきことを予知するまでの期間」について過少申告加算税5%又は10%を課すとするものである。
平成26 年度は税務代理人があるときは本人に対する事前通知省略ができるとする改正。また、平成27 年度は再調査の制限の対象となる調査について、前回調査が「実
地調査以外の調査」である時は新情報がない場合であっても再調査を行うことができるとする改正や複数の税務代理人があるときは代表者のみに事前通知すれば足りるとするなど、税務行政の効率化を図るものであり、納税者に対しては手続きや加算税が強化される内容となっている。

(3)平成28 年1月1日より開始した個人番号(マイナンバー)制度

2013(平成25)年5 月「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」ほか3 法が可決、公布され、2015 年度前半はにわかにマイナンバーに関する広告宣伝が国税庁を筆頭に活発に行われ、民間ソフト会社を中心にセミナーの開催、ソフトウェアの営業が展開され、国民、民間事業者は番号制の推進をあおられた。
しかし、個人番号制度はプライバシーなどの基本的人権を侵害するものであり徐々に反対の声が広がってきている。「番号を申請しない」「番号を使わない」「番号を使わせない」など形骸化する運動が叫ばれる一方で、マイナンバー違憲訴訟が全国8 カ所で提訴されている。
TCフォーラムは、昨年9 月12 日(土)にマイナンバーをテーマに「不公平な税制をただす会」の秋期学習会に協賛し参加した。
学習会のタイトルは「事業者に重荷、ダダ漏れ必至の共通番号は憲法違反~マイナンバー実施でどうなる企業業務や税理士業務~」であった。

(4)2015 年5 月27 日(水)、国会議員要請行動の実施

国会議員の構成が大きく入れ替わり、今までTCフォーラムの活動に理解を示していた衆議院・財務金融委員会、参議院・財政金融委員会のメンバーが大幅に変わってしまった。
昨年に引き続きTCフォーラムの活動をまず知ってもらうこと、納税者権利憲章制定のためには、国税通則法第1 条目的に「国民の権利利益の保護を図る」の文言を明記する改正を求めるという1 点に絞って要請を行った。国税通則法改正後の税務行政の動向をみると、税務調査手続きの規定はできたものの、手続きによらない処
方を用いようとしており、真の納税者の権利保護の確立のために、第1条目的の改正の必要性を訴えるパンフを作成して国会要請を行った。

2014年4月1日~2015年3月31日 本年度の活動報告

本年2月8日に学者を中心とする「民間税制調査会」設立シンポジウムが開催された。また、2月15日には、「税金を払わない巨大企業 ~公正な税制で社会保障のお充実を~」をテーマに緊急シンポジウムが「公正な税制を求める市民連絡会(仮称)準備会」主催で行われなど、税への関心の高まりを示す動きがあった。

(1)2014年6月14日(土)東京税理士会館で第22回定時総会を開催

記念講演は「お尋ね文書等や『質問応答記録書』への対応 ~通則法改正による国税庁の新たな模索と納税者の権利~」をテーマに、東京税財政研究センター副理事長・税理士の小田川豊作氏を講師に迎え行われた。国税通則法改正による国税庁内部の新たな模索の状況とその中で如何にして納税者の権利を護るかという観点から報告があった。
国税通則法改正を受けて調査手続きが煩雑となり実地調査件数が減少していることから、国税庁は接触率を上げるため、実地調査以外の調査や行政指導を効果的に活用した試行に取り組むことを打ち出している。実際に試行された新施策を見ると、法的妥当性を欠くとともに違法性を帯びていると指摘。
また、供述調書を参考に作成されたという「質問応答記録書」の実態が明らかにされ、全国統一方式で進められていることが分かった。記録書の作成をする旨を調査官から告げられたら、法律的な根拠を質問し、「応じられません」と明確に断ることが必要との報告に、このような情報を広める必要性が確認された。

(2)運営委員会の開催

運営会議を4月、5月、7月、9月、1月に開催した。討議の結果、2013年3月に作成した「納税者のためのよくわかる対策Q&A」に、改正通則法施行後に生じた問題に対し3問追加した。また、国会要請の際に手渡すパンフレットの内容について討議し、わが国における納税者保護の状況を一覧できる表やこれまでのTCフォーラムの活動を明記し、国税通則法第1条目的に「納税者の権利利益の保護に資する」旨を明記する改正を求めるものとした。

(3)2014年6月5日(木)、国会議員要請行動の実施

国会議員の構成が大きく入れ替わり、今までTCフォーラムの活動に理解を示していた衆議院・財務金融委員会、参議院・財政金融委員会のメンバーが大幅に変わってしまった。そのため、TCフォーラムの活動をまず知ってもらうこと、納税者権利憲章制定のためには、国税通則法第1条目的に「国民の権利利益の保護を図る」問う文言を明記する改正を求めるという1点に絞って要請を行った。あわせて、第22回の定時総会の開催を知らせ、臨席及びメッセージをお願いした。
衆・参の財金メンバー65名及び今まで理解を示しメッセージをいただいた議員など90名を超える議員室を訪問し要請を行った。運営委員、事務局員など15名が参加した。
なお、5月13日、6月9日に、衆議院財政金融委員会及び参議院財務金融委員会の委員を中心に要請を行った。